- 放射線技師って、やりがいあるのかな?
- 放射線技師の将来性は?
- 放射線技師のなりかたは?
と考えていませんか?
放射線技師は国家資格で、人気の職種です。でも、たまに「放射線技師になるのはやめとけ」という事を聞くことがあります。人気職種である放射線技師がなぜでしょうか。
結論、私は放射線技師になるのをおすすめします。本記事では、放射線技師歴10年の私が、「放射線技師をやめとけ」という理由、将来性、やりがいについて解説します。放射線技師へのなり方も説明しますので、最後までご覧ください。
放射線技師をやめとけという意見
- 給料が低い
- 就職難
- 男性技師の雇用が少ない
- 子持ちは働きずらい
というのが主な理由のようです。
1つずつ解説していきます。
給料が低い
放射線技師は給料が低いといわれています。実際に厚生労働相が出している統計調査によると、令和4年度の診療放射線技師の平均年収は540万円です。内訳は、月収が368,700円、賞与は1,013,000円です。大手企業などと比べると低いですが、そこまで低すぎる年収ではありません。ただ、この給料には当直・オンコール・資格手当・残業などの手当て含まれています。そのため、家庭の事情などでこれらの業務ができない時には手当てがつかず、年収が下がってしまうでしょう。
就職難
近年放射線技師の養成校はかなり増えてきていますが、診療放射線技師の従事者数も増えてきているようです。ですので、一概には就職難とは言い難いです。養成校を選ぶさいに就職率がいいところを選ぶようにしたり、養成校を卒業したらなるべく大きい病院を選び、転職しても転職先に困らないよう知識やスキルをたくさん身につけておくことをおすすめします。放射線技師の業務に関わる認定試験など、就職してからも資格を取って損はないので、継続して勉強できるといいですね。
求人が看護師などの他の医療職と比較すると少ない
放射線技師の離職率は基本的には低いです。一度入職すると、基本的には辞めない技師が多いです。なので、他の職種と比べると求人が少ないと感じてしまうのではないでしょうか。実際には診療放射線技師として働いている人数は圧倒的に男性が多いです。
子持ちは働きずらい
女性技師が少ない職場では、マンモグラフィが女性しか撮影できない病院などでは、休んでしまうと検査そのものが出来ず患者さんに迷惑をかけてしまうといったようなことがあります。また、当直やオンコールがある職場では、免除などしてもらうことも可能かもしれませんが、その分他の人の負担が増え、申し訳ないと思ってしまいます。特に人数ぎりぎりで回している職場ほどひしひしと感じます。
入職する前には、福利厚生がしっかりしており、産休・育休取得実績があるような病院を選ばれることをおすすめします。
放射線技師の将来性
- 養成校は増えているので、供給過多として求人は減少傾向
- 養成校は増えているので、放射線技師にはなりやすくなった
- 放射線技師自体の職種がなくなることは考えずらい
養成校は増えているので、供給過多として求人は減少傾向
放射線技師の養成所は年々増えており、平成10年では39校で定員2217人に対し平成29年では47校で定員2897人とここ20年でもかなり増えています。さらにここ数年でも新設した養成校もあり、令和4年では54校で定員3493人までに増えています。
一方診療放射線技師従事者数は、病院だと平成14年で33,559人。平成26年で42,258人まで増えています。私が調べた中で一番最近の情報だと平成30年で45,072人と数年でも増えています。
確かに放射線技師の人数は増えていますが、その分病院での放射線技師の需要も増えているのではと感じました。就職率は入学した学校にもよるので、なるべく就職率が高い学校を選ぶといいでしょう。
養成校は増えているので、放射線技師にはなりやすくなった
前述したとおり、平成10年で定員2217人だったのに対し令和4年では3493人と1000人ほど増えています。放射線技師になりたい方は、養成校に入れるチャンスが増えたと考えるべきではないでしょうか。また、放射線技師になるためには国家試験に合格しないといけませんので、養成校を選ぶ際は、なるべく国家試験の合格率が高いところを目指しましょう。
放射線技師自体の就職がなくなることは考えずらい
近年AIはめざましく進化していて、実際に4月に行われる『国際医用画像総合展』という最新の医療画像機器や周辺機器を紹介する展示会では、毎年その進化に圧倒されます。放射線技師が実際に行う業務でも、『ポジショニング』という作業があるのですが、これは検査をするさいに撮影しやすいように患者さまの体位を決める作業で、このCTのポジショニングも、天井に取り付けたカメラで必要な場所まで自動で移動します。他にも、撮影した画像を処理する作業も、ある一定のところまで処理してくれたり、自動で送信してくれたりします。放射線技師にとっては業務が減って楽になる反面、いつか技師の仕事が全てとられてしまうのではと恐怖に思ってしまうこともあります。
ですが実際には、検査中暴れてしまう患者さんをしっかり固定して撮影したりなどの工夫が必要です。また、ポジショニングの仕方が悪いと無駄な被ばくが増えてしまったり、画像によくない影響を与えるアーチファクトなどが出てしまう可能性もあります。完全に放射線技師の仕事がAIに置き換わることはまずないでしょう。
放射線技師のやりがい
- 常に正確な画像診断検査を求められる。
- 医療を必要とする患者さんと対面でおこなう検査が多い。
- 業務に関係する勉強は沼。
常に正確な画像診断検査を求められる
放射線技師はレントゲン撮影やマンモグラフィー検査、MRI検査、CT検査など様々な検査を請け負っています。中にはスイッチを押すだけの簡単な仕事でしょと思われることもありますが、実際に業務を行うさいは様々なことを頭で考えています。
「この患者さんはこのぐらいの体厚だから、これぐらいの撮影条件にしよう。」
「この患者さんは痛くてこの体位がとれないから、違うアプローチを考えよう。」
「この検査目的だと撮影シーケンスはこれが必要になるな。」
上記以外にも正確な診断につながるよう、日々いろいろなことを考えて検査しています。正確な画像診断検査をするためには、正常像・異常像が頭に入っていなければなりませんし、自分が撮影した画像がどのような疾患なのか、頭に入れておく必要もあります。毎日同じ日はなく、日々知識と技術が蓄積されているのを実感することができるので、とてもやりがいがあります。
医療を必要とする患者さんと対面でおこなう検査が多い
放射線技師の業務は患者さんと対面でおこなう検査が多いです。検査にもよりますが、痛みをともない動くことが困難な患者さんも多くいらっしゃいます。なるべく痛くならないような言葉がけを考えたり、丁寧に検査説明を行うと患者さんも検査に理解を示されることが多くあります。放射線技師になりたての頃は患者さんの気持ちを汲み取れず、いやな気持ちにさせてしまったり、おこらせてしまったこともありました。ですが、そのたびに患者さんにとってどうやったら少しでも検査を苦痛なく終わらせられるか考え、試行錯誤して成長していくうちに、患者さんから感謝の言葉をいただいたときは、とてもやりがいを感じました。
業務に関係する勉強は沼。
放射線技師に限らずですが、業務に関係する知識を深掘りしていくと、本当に終わりがありません。最初は撮影方法や病院内の取り決めなどを覚え、だいぶスムーズに検査がこなせるようになってきたかと思うかもしれません。ですが撮影した画像にどのような疾患があるか、この患者さんはこのあとどういう処置をしてまたフォローにやってくるのか。読影結果が返ってきて所見を見返すとまた新しい発見があったり、とにかく勉強すればするほど知りたいことが増えます。検査の事前準備も、段取りよくできる先輩は知識が豊富で、勉強熱心な方でした。撮影について、よりよい画像診断を患者さんに提供できるように勉強していくことは、とてもやりがいがあります。
放射線技師のなり方
- 放射線技師の養成校へ行く(4年大学、専門学校)
- 国家試験に合格する
放射線技師の養成校へ行く(4年大学、専門学校)
放射線技師になるにはどうしたらいいか。とてもシンプルです。放射線技師の養成校へ入学し卒業して、国家試験に合格する。養成校は令和4年5月現在で国立・公立が15校、私立が25校、専門学校は14校の計54校あります。養成校へ入学できたら卒業できるようがんばりましょう。学生生活の後半は、単位もとりながら国家試験の勉強もしなければなりませんので、なかなかハードになるかと思います。なかにはバイトやサークル活動をしながら国家試験に受かったかたもいるので、セルフマネージメントが大事になってきますね。
国家試験に合格する
養成校を修了すると、いよいよ国家試験を受けることになります。平成1年から平成29年までの国家試験の合格率を見てみますと、最低で61.9%、最高で85.4%となっています。最低の年は6割しか受からないのか、とびっくりしてしまいますが、国家試験の合格率は養成校によっても違います。国家試験に力を入れている養成校もありますので養成校を選ぶさいは、そちらを検討してみるのもおすすめです。